一般の皆様・患者様へ

放射線治療を受けられる一般の方へ

放射線治療中の方やこれから放射線治療を受ける方は、新型コロナウイルス感染症のために治療を受けることに少なからず不安を感じておられることと思います。
がんの治療において放射線治療はとても大事で、治療を中断したり治療を延期することで、がんが治りにくくなる可能性があります。自己判断で治療をやめることは避けてください。
現在の放射線治療で気になることがある場合は、まずは放射線治療の担当医師にご相談ください。またこの記事の最後にリンク集がありますのでそちらも参考にしてください。
なお、本ページは悪性腫瘍(がん)の患者さん向けに作成しているため、他の良性疾患(ケロイドやバセドウ眼症など)に対して治療を予定されている患者さんには当てはまらない部分があります。良性疾患の多くは治療を急ぎませんが、状況によって対応が異なりますので、該当する患者さんは主治医によく相談ください。

がん医療および放射線治療に関するFAQ

新型コロナウイルス(COVID-19)全般の情報については、リンク集内にある、主要学会のホームページ等をご参照ください。

放射線治療を開始するまでのこと

●新型コロナウイルス感染が心配ですが放射線治療をうけても大丈夫でしょうか?

今、あなたのがんの治療には放射線治療が必要です。新型コロナウイルス感染が心配と思われますが、主治医の先生は、がんの治療のために放射線治療を行うべきか、新型コロナウイルス感染の状況も踏まえて十分検討して下さっているはずです。感染状況や患者さんの病気の進行度に応じた癌治療の方法について、早い段階から世界各国の専門家が検討を重ねており、放射線治療に関するガイドラインも整備されてきています。ただし、様々な状況によって最適な時期・方法は異なり、まだわかっていないことも多いので、新型コロナウイルス流行期の中では特に、主治医、放射線治療医とよく相談してください。
参考:『がんの放射線治療後の免疫力について』日本放射線腫瘍学会、2020年4月25日

●新型コロナウイルスの影響で、治療方針を手術から放射線治療に変更すると主治医にいわれました。わたしのがんはちゃんと治るのでしょうか。

治療方針についてはそれぞれの施設の方針や患者さんの病状によって異なりますが、主治医の先生が、治療の効果やそれに伴う諸々の危険を総合的に加味して、最良の選択肢として示されたものなのでしょう。また、治療効果についても、放射線治療が予定されていた手術より治療成績が劣るとも限りません。
まずは各診療科の担当医に率直に聞いて疑問を解決し、納得された上で治療を受けて下さい。

●放射線治療中にほかの患者さん等からコロナウイルスをうつされることが心配です。

病院ごとに具体的な方策は異なりますが、多くの病院で、ソーシャルディスタンスを保てるように待合室の配置や診察予約の取り方を工夫する、患者さん毎に診療器具を消毒する等、感染リスクを減らすための努力がされています。特別に心配しすぎず、治療中も通常通りの感染予防と体調管理を行なってください。気になる点があれば担当医に直接聞いてみても良いでしょう。

放射線治療中に気をつけること

●免疫力が落ちて新型コロナウイルスに感染しやすくなると聞いたのですが、本当ですか?

放射線の局所照射で、感染に対する抵抗力(免疫力)が低下するというエビデンスは乏しく、放射線治療と新型コロナウイルス肺炎の重症化との関係も2020年6月時点では明らかではありません。ただし、抗がん薬を併用した化学放射線療法では、免疫力が一時的に低下する可能性がありますので、個々の病状、基礎疾患等によっては治療の内容や時期の変更が考慮されることもあります。

●放射線治療中に新型コロナウイルス感染を予防するためにはどうしたらいいでしょうか。

一般の方と同じで、手洗い、うがい、マスク着用を行い、三密(密閉空間、密集場所、密接場面)やクラスタが発生したような場所を避け、不要不急の外出は避けてください

●発熱などの症状があるのですが、治療を継続しても良いでしょうか?

発熱、のどの痛み、倦怠感、味やにおいの違和感など、新型コロナウイルスで起きることがある症状がある場合は、通院で治療されている方は、病院に向かう前に電話連絡して状態をお話してください。病院に到着した後に具合が悪くなった場合は、放射線治療を受ける前に担当医に相談してください。放射線治療部門内には他にも治療中の方がおり、ご本人の安全はもちろんですが、周りの方の安全を守ることも大切です。

●新型コロナウイルス流行地域に住んでいますが、現在の放射線治療を中断してもらうべきでしょうか?

放射線治療の中断は治療効果に影響することがありますので、できるだけ避ける必要があります。特別な理由が無い場合には可能な限り継続してください。しかし、発熱などの症状がある場合は、放射線治療を継続することで症状の悪化を来してしまう可能性もあります。体調で気になることがあるときは放射線治療担当医、主治医に相談してください。

●放射線治療期間中の定期診察は、継続してもらったほうが良いでしょうか?

放射線治療担当医の定期診察は、副作用の程度や治療効果に応じて回数を微調整したり、放射線を当てる方法を調整するのに必要な診察です。自己判断で中断せず、継続してください。また、放射線治療医はあなたが受けられている放射線治療で起きやすい副作用を熟知していますので、気になる症状があれば、それが放射線によるものなのか相談してみてください。新型コロナウイルス流行期で心配がある時期だからこそ、安心して放射線治療を受けるために定期診察を受けることを推奨します。

●頭頸部がん治療中です、におい・味覚の違和感があるのですが新型コロナウイルスに感染したのでしょうか。

放射線治療開始から4週間程度が経過しているようでしたら、放射線治療によって起きている症状の可能性があります。放射線治療担当医、主治医に症状があることをお話し、相談してみてください。

●肺癌がんや食道がんなどで胸部に放射線治療を受けています。発熱、咳などの呼吸器症状がでてきたのですが、新型コロナウイルスに感染したのでしょうか。このまま放射線治療をつづけても大丈夫でしょうか。

乳房、肺、縦隔、頭頸部、上腹部では肺にも放射線が当たることがあり、これによって発熱や呼吸器症状が出ることがあります。自己判断で放射線治療をお休みしてしまうと、がんの根治が難しくなることがあり、お勧めできません。放射線治療担当医、主治医に症状があることをお話し、相談してみてください。

放射線治療が終了してからのこと

●外来診察予定があるのですが新型コロナウイルス感染が心配なので延期してもいいでしょうか。

落ち着いていれば可能なこともありますが、治療の状況によっては延期しない方がいいことがあります。主治医とご相談ください。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンについて

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンについての提⾔が公開されました。下記より御覧ください。
https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/news/20210226.pdf

乳癌の放射線治療後について

過日、乳癌の放射線治療後の免疫力低下についての報道がありましたが、日本放射線腫瘍学会より「早期乳がん手術後に行われる放射線治療は、体への侵襲が少なく、免疫機能の低下はほとんどありません。」という声明を出させていただきました。

詳しくは下記をお読みください
https://www.jastro.or.jp/customer/news/20200425.pdf

 

参考資料・リンク集

新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

新型コロナウイルス感染症|感染症トピックス|日本感染症学会(一般市民の方へを参考にしてください。)
http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31

日本臨床腫瘍学会Hp 「一般の皆さまへ」
https://www.jsmo.or.jp/general/coronavirus-information/qa.html

*がんの放射線治療後の免疫について

公益社団法人 日本放射線腫瘍学会Hpより
https://www.jastro.or.jp/customer/news/20200425.pdf
公益財団法人日本対がん協会配信動画「東京大学 中川恵一准教授からのメッセージ」 
https://www.youtube.com/watch?v=wpALmf0mK58

問い合わせ

下記を参考にしてください

各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口 | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/pages/corona_news.html

 

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